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ロングインタビュー

Aさんにご協力頂きました。
乳がん、という心身ともに大変な苦労を乗り越え、新たな第一歩を踏み出すきっかけとしてマエダモールドの『人工乳房』を選択してくださったお客様とのインタビューをご紹介いたします。
今回インタビューさせていただいたのは、愛知県にお住まいのAさん。
2006年に乳がんを発症し、2011年、マエダモールドで人工乳房をおつくりになったお客様です。
人工乳房との出会い、人工乳房をつくったことでどんな変化があったか、などインタビューしていきます。

お客様におはなしを聞きました。


オーダーメードの人工乳房が完成してから2ヶ月が経ちましたね。 つけ心地はどうですか?何か困ったことはありませんか?

つけ心地はさすがオーダーメード。まったく違和感なく、付けていることを忘れてしまうくらいしっくりきています。からだの線が分かるような服を、人の目を気にせず着られますし。そうそう、さっそく仲間と一緒に泊まりがけの旅行に行ったのですが、温泉デビューも大成功でした!


温泉デビューできたんですね。お友達の反応はいかがでしたか?

気心知れた仲間なので、乳がんで手術をしたことも知っています。ですからあまりの完成度の高さに、本当にびっくりしていました。きっと手術のことを知らなかったら、気づかなかったと思います。接着剤も日本製で安全ですし、外れることもまったくなく、安心してお風呂に入ることができました。

それは本当に良かったです!A様のように前向きに歩んでいらっしゃる方を見ると、作り手としての喜びだけではなく、本当に元気をいただきます。『人工乳房』を通して、少しでも多くの方に新しい一歩を踏み出す勇気を与えるきっかけになっていただけたらと思っていますので、いろいろお話を伺ってもよろしいでしょうか。

もちろんです。


ありがとうございます。では、そもそも人工乳房についてご存知でしたか?

はい。手術で入院したときに、病院で教えていただきました。でも人工乳房というよりは既製品のパッドのようなものだったので、まさかオーダーメードでできる人工乳房があるということまでは知りませんでた。


手術後、人工乳房のことはお考えになりましたか?

手術直後は、命を救ってもらった安心感でほっとしたのもつかの間、その後の抗がん剤や放射線治療による副作用がひどくて。いただいた命なんだから治療がつらくてもがんばろう、と当初はがんばっていましたが、あまりのつらさにがんばれないかも…と思うこともしょっちゅうありました。治療が終わっても副作用がなかなか治まらず、「一生この体調のまま生きていかなくちゃいけないの?」と悩み、心療内科まで通ったほどです。正直その頃は、人工乳房なんてことまで考えもつきませんでした。


なによりもまず体調を回復させることが大切ですものね。

そうなんです。治療が終わって1年ほど経った頃でしょうか…気づいたら、あんなにつらかった毎日がうそのように楽になったんです。おそらく体内に残っていた薬が抜け、副作用が止まったからだと思います。


なぜ人工乳房の必要性を感じられたのですか?

体調が戻ってきて初めて、たまには外出してもいいかな、とか思うようになってきました。すると今度は他人からの見た目とかが気になり始めるんです。さきほども言いましたとおり、オーダーメードの人工乳房のことを知りませんでしたから、最初は通販からパッドを購入しました。ただ、既製品ということもあって、わたしのサイズに左右を合わせようとするとどうにもしっくりこないんですね。そこで補正用パッドとタオルハンカチを重ねて使ってみたものの、動いているうちに外れてしまったり…。友達に「通販のパッドじゃあ、なんか形がおかしいよね」って聞いても、皆口を揃えて「そんなことないよ、気にならないから」って言ってくれるんですよ。でも鏡を見たらやっぱり明らかに違う。きっとみんな気を遣ってくれていたんだろうな、と思うと、聞いてしまったことに後悔してしまい、逆に自分を落ち込ませてしまって。Tシャツ1枚着るにも引け目を感じるようになり、ココロもカラダも違和感でいっぱいでした。そんなわたしの心境を、家族…特に娘が感じ取ったんでしょうね。わたしが何枚も重ね、知らずに落としてしまったパッドを大切に手の中にしまいながら、「おかあさん、このパッド、これから『義乳(ぎちち)ちゃん』って呼んであげようよ。この子だって、おかあさんにとってないと困るものだもんね」って励ましてくれたんです。


娘さんの、おかあさんへの精一杯のやさしさですね。

ちょうどそんなときに、共通の知人を通してマエダモールドさんに出会ったんです。そこでオーダーメードの人工乳房があることを知りました。これなら、常にパッドを気にしながらの生活から解放されるんじゃないか、って。


なぜマエダモールドで人工乳房をつくろうと決められたのですか?

前田さん(=担当者)のお話を伺っているうちに、人工乳房に対する思いや優しさ、その思いをカタチにできる技術力の高さ、すべてにおいて信頼できると感じたからです。


人工乳房をつくることに対し、ご家族はなんとおっしゃっていましたか?

もちろん家族全員賛成してくれました。とくに娘は「やったね!義乳ちゃんが本物みたいになるんだね!」と心から喜んでくれました。


実際に人工乳房をつくっていくにあたって、大変だったことはありますか?

つくられる側に負担がかからないよう、確かな技術と最新鋭の設備で臨んでくださいましたから、からだの負担がほとんどなかったのは間違いありません。それよりも「どのくらい自分の形に近いものになるのかな」というワクワク感のほうが大きくて、どの工程も苦になりませんでしたね。職人さんをはじめ皆さん本当に親切にしてくださって、大満足でした。


完成した人工乳房を初めて手に取ったときの感想をお聞かせください。

本物そっくりで、装着した瞬間「もとに戻ったみたい」と思いました。納品当日は主人と一緒に伺ったのですが、誰よりも主人がいちばんビックリしていたみたいでしばらく真顔で表情も止まってしまいましたものね(笑)


ご主人様は、A様がどれだけ大変な思いをされてここまでたどり着いたのかをすべて傍らでご覧になってきたので、きっと感無量だったんだと思います。

家に帰ってから娘に見せたところ、あまりの精巧さに「おかあさん、よかったね」の前に「形も色付けもすごい!」と言ったくらいです。芸術作品としての人工乳房にしばらく見入っていましたから。とにかく、家族全員、喜びでいっぱいでした。


A様の笑顔を見れば、その様子も想像できますね。では最後に、同じ悩みを抱えていらっしゃる方に、伝えたいメッセージはありますか?

切除してしまったら、なにか自信がないような、普通の人たちとは違うような、引け目感みたいなものを持っていました。体調が回復し外に出られるようになっても、パッドが気になって積極的に外出することもありませんでしたし。
でも人工乳房に出会ったことで、外出する機会が格段に増え、見たことのないものを見たり、初めて出会うものに感動したり…すべてが新鮮で、新しい人生のきっかけを与えてくれたような気がします。わたしのこの体験を、同じ悩みを抱える人に伝えていくことができたらいいな、と思っています。


本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

 
ありがとうございました。